ワークライフバランスの呪縛
ワークライフバランスが企業の課題として取り上げられるようになって久しいですよね。
お上の狙いは、文字どおりワーク(仕事)とライフ(暮らし)のバランスを取ろう。
というものです。
ちなみに内閣府での定義はこのようになっています。
http://wwwa.cao.go.jp/wlb/towa/definition.html
仕事もプライベートもそれぞれ充実させようよ!
という一見きれいごとに見えますが、どうも私にはしっくりきません。
本当に仕事と暮らしのバランスを取る必要はあるのでしょうか?
そもそも、仕事と暮らしを分けて考えること自体がナンセンスだと考えます。
仕事と暮らしは不可分です。
暮らしの中に仕事があります。
会社を一歩出たら、「ハイ、お仕事終了!」ではなく、
仕事を通して経験したことが、日々の暮らしに活かされ、
日々の暮らしの中で得たもの、学んだことが、仕事に活かされるのだと考えています。
これが巡りめぐって好循環となり、魅力的な人格形成へとつながって、
そんな魅力的な人が集う会社から、素晴らしい商品やサービスが生まれるのです。
会社がするべき大切なことは、
社員が仕事を通じて気付きを得られたり、日常での経験を仕事に活かしたりできる、柔軟な思考を育くむ企業文化をつくることです。
ただ単に労働時間を削減したり、短時間勤務を推奨することではありません。
企業文化づくりに一貫性は欠かせない要素ですが、一人の人間にも同じことが言えます。
仕事がオンでプライベートがオフ。
ではなく、いつもニュートラルでいられるのが理想です。
オンとオフの顔を使い分けるのではなく、一貫性というしなやかな強さを育むことが何よりも大切なのです。
企業文化刷新でかなえた再建
知人社長の会社のお話です。
社長は7年前に先代から会社を引継ぎました。
それまでは創業者である先代が叩き上げの技術力と野生の勘で経営の舵取りを行っていました。
幸い高い技術力の社員が揃い、そこそこの業績を上げていましたが、幾度の試練を乗り越えた会社もリーマンショックの荒波の前には儚く消え入りそうになっていました。
「挨拶なんかで業績が上がるか!!」という先代肝いりの従業員たちに、再建策を次々と実施、社長の哲学を基に経営理念・行動指針を作り、挨拶を徹底するなど、根気強く企業文化の刷新に取り組みました。
そして、最盛期の6分の1まで落ち込んでいた売り上げを、7年間で23倍にまで引き上げることができたのです。
企業文化だけで、売上拡大、利益増大に繋げることはできません。
早く結果を出すには、マーケティングスキルやツールといった戦術による影響が大きいことは否めません。
しかし、企業文化は土壌であり、根幹を為すものです。
根が張れなければ、たとえ大木であろうとも、朽ち果てます。
この会社では、企業文化の刷新という土壌改良に取り組むことで、高い技術力のある社員という大木に栄養を行き渡らせることが出来、良き製品・そして売上増大という果実をたわわに実らせることができたのです。
戦略・戦術を駆使しても思うような効果が見られないという方。
企業文化を見直す時が来ているのかもしれませんよ。
美味しい話に惑わされることなかれ
一貫性なき就業規則
社会保険労務士という資格の特性上、さまざまな就業規則に接する機会があります。
ツギハギだらけで一貫性のない就業規則を多く目にします。
あっちからコピペ、こっちからダウンロード、助成金受給に必要な項目を追記して・・・
とやっていると、何がなんだかわからなくなってしまうのです。
たとえ違法性はなくとも、全体的な主張が一貫しない、奇妙な就業規則の一丁あがりです。
就業規則は、ありったけの想いを込められる貴重な経営の友です。
就業規則は言い回しが堅く、仰々しいイメージがありますが、
実のところ絶対に記載しなければならない項目は驚くほど少なく、かなり自由度が高いのです。
現に、私が作る就業規則は、すべて口語体です。
せっかくのチャンスです。
お仕着せの就業規則から脱し、経営者のあなたの思いの丈を込めませんか?
そして、そこに社員がつくる服務規程も加えましょう!
みんなで創る、世界でたった一つの全員参加の就業規則が誕生しますよ。
私の失敗、残念すぎた経営理念
経営理念にまつわる私の失敗談。
私は2012年8月28日に開業しました。
なぜそんな半端な日?その日は大安だったのです。
という余談はさておき・・・
開業前に
「士業事務所とはいえ経営をするのだから、経営理念を作らねば。」
と思い立ちました。
そこで、浅はかだった私は、カッコ良さそうな言葉を集め、うまいこと繋げて経営理念を作ったのです。
意気揚々とホームページに掲げ、名刺にも載せました。
色んな方から、「あの経営理念いいね~」と言われました。
しかし、当の私は、
「評判良くてよかった。でも、時々思い出せないことがあるんだよね。」
と思っていたのです。
事実、事業運営上なんの力にもなっていませんでした。
ただ見せかけのためだけにあるものだったのです。
借り物の言葉で経営理念を作るリスクはここにあります。
所詮他人の言葉です。
どんなにうまくアレンジして繋げても、やはり他人の言葉です。
腹の底から湧き出た、自分の根底の泉から湧き出た言葉でなければ、経営には何の役にも立ちません。
それどころか、実像と理念が乖離し、害にすらなります。
こんな残念すぎる経営理念にしないよう、
あなたの言葉で、あなたの泉から湧き出た言葉で作りましょう。
経営理念を掲げよう
あなたの会社に経営理念はありますか?
ないという方、経営理念を掲げましょう。
経営理念は会社の「在り方」を現したものです。
経営理念がないまま経営を続けていくと、意思決定の基軸がなくなります。
基軸がないとどうなるでしょうか?
その場その時で判断がブレます。
時流や他社の動向、他人の意見に惑わされるリスクが高くなるのです。
ましてや、一貫性など望めようもありません。
「よーし、経営理念を作るぞー!」
と思われた方、その決断力を行動に移しましょう。
ただ、ひとつだけ気を付けてください。
経営理念はあなた(経営者)の哲学に基づいたものにしてくださいね。
一筋縄ではいかないでしょうが、あなたの哲学を言語化する良い機会です。
腰を据えて取り組んでみましょう!
企業文化づくりを支えるインフラ
以前、企業文化づくりは心の通い合う風土づくりでもある、と申し上げました。
心が通い合う、というと、なんとなくフワフワした雰囲気を思い浮かべられるかもしれませんね。
心が通い合う風土というと、
・ほんわか温かい
・ワクワク
といった言葉がのぼりがちですが、漠然とした明るいイメージではなく、明確な根拠とそれを共有することが必要です。
演出や鼓舞によるワクワクムードは、一時的に高揚感を得ることができても維持しづらいのです。
心が通い合うには、
・経営者と従業員が展望(ビジョン)を共有できる
・経営者と従業員が同じ方向を見据えられる
・経営者不在の場合でもあうんの判断ができるように、共通の価値観を持てる
・従業員の自律性が育まれる
風土が必要です。
そして、その風土を支えるインフラとなるのが、