思い遣りのつもりが価値観の押し付けに!?
日頃経営者の方々とお話をしていると、
社員にとても気を配っていることがわかります。
会社で仕事の成果を最大限に発揮してもらうためにも、
社員に少しでもモチベーションを上げて欲しい、
と思うからでしょう。
そこからの派生になりますが、
「うちの業種はつまらない苦痛な仕事が多いから、社員が気の毒だ。」
と言う方も結構いらっしゃいます。
表情をみていると、いわゆる照れ隠しではなく、
社員を心から思いやっているのがわかります。
社員を思いやる社長。
素晴らしい社長に思えますよね。
しかし、そうとも言い切れないのが辛いところです。
思いやりという行為自体はとても大切なことですが、
その思いやる内容が問題なのです。
おそらく思いやりの第一フィルターとして使われているのは、
子供の頃に教えられた
「自分が嫌なことは人にしてはいけません」
という言葉です。
残念なことに、この言葉を曲解している社長が多いのです。
ここでの嫌なことは、道徳にもとることです。
自分が苦手なこと、嫌いなこと、ではありません。
人それぞれ持ち味も、得意分野も違います。
自分が苦手なこと、嫌いなことをさせない。
ということは、相手を思いやっているつもりで、
無意識のうちに価値観を押し付けているのです。
一番スッキリするのは、
社長が「つまらない」と思う仕事は、業務内容から外すことです。
「そうは言っても取引先との関係上、簡単に辞められないよ~」
と言うのであれば、視点を変えてみましょう。
先ほども書きましたが、人間には一人ひとり異なる持ち味があります。
社長のあなたにはつまらない仕事でも、
社員Aさんにとってみれば面白い仕事かもしれません。
これがチャンスだと思って、
社長にとって苦痛なこと、つまらないことは、まずは社員に任せてみましょう。
結果、社員にとっても苦痛であり、つまらないことであれば、思い切ってその業務はなくすか外注しましょう。
もし、社員にとってやりがいのあることであれば、
会社の方針から外れない範囲で全面的に任せてしまうことで、
自然に社員の自律性を育くむことができます。
大切なのは決め付けないことです。
思いやりが価値観の押し付けになっていないか、時々立ち止まって考えてみましょう。