Evernote創業者の考える企業文化
このコラムの原稿を書くとき、私はいつもEvernoteを使っています。
この便利なEvernoteの開発者であるCEOのフィル・リービン氏が目指しているのは、「100年存続企業」です。
事業を軌道に乗せては売却し、また新たな事業を起こす、いわゆるシリアルアントレプレナー(連続起業家)から一転。
企業理念として「100年間続く会社=100年間革新し続ける会社」を掲げるようになったのは、Evernoteというサービスの特性を考えたからだそうです。
Evernoteは、生涯にわたりライフイベントを記録し続けることのできるデジタルサービスを標榜しています。
つまり、「顧客が自分の大切な人生の記録を安心して預けられる、顧客の生涯に寄り添い続けられる会社になることが必要だ」とリービン氏は考えたのです。
「ビジネスの主役は自分ではなく顧客である」と気が付いたからこそ、辿り着いた境地だったのですね。
そんなリービン氏がまず行ったのは、世界中の100年以上存続している会社を調べること。
すると、約3000社が存在し、そのうちの80%が、なんと日本の会社だと判明したのです。
そんな永く続く日本企業の特徴である「企業文化の継承」に、リービン氏が着目したのは言うまでもありません。
代替わりしようが、サラリーマン社長に椅子を譲ろうが、創業の精神と美学は会社のDNAとして脈々と受け継がれているということに気が付いたのです。
会社の在り方を突き詰めると、おのずと在り方を具現化するための企業文化に辿り着きます。
永く続く会社には、必ずあうんの呼吸で意思決定ができる企業文化があるものなのです。