なぜ労使トラブルは依然多いままなのか?
労働相談件数や個別労働紛争相談件数をご紹介します。
ここ2年ほど逓減傾向にあるとはいえ、依然高水準で推移しています。
この10年あまり、企業はただ手をこまねいたわけではなく、リスク対応型の就業規則を作成するなど対策は講じてきました。
では、なぜ、それもむなしく労使トラブルは多いままなのでしょうか?
・依然非正規労働者が多く、不安定な立場から抜け出せない。
・労働者がインターネット等で情報を得やすくなり、権利意識が高まった。
・満足のいく水準の賃金が得られてない。
などということも要因として挙げられますが、それ以上に労使間のコミュニケーション不全によるものが大きい、と私は考えています。
具体的には、
・会社の方向性や展望(ビジョン)を従業員と共有していない
・リスク回避に重きを置くあまり、ノーマルな(問題行動を起こさない)従業員が置き去りに
・会社が従業員を十分に承認していない
ということが挙げられます。
従業員の権利の主張は、不確実性への保険です。
会社の方向性や長期的なビジョンがわからないので、ずっと居られる会社なのか不安を覚え、近視眼的になるのです。
こうしたコミュニケーション不全の改善のためにも、企業文化づくりを進めましょう。
理念を共有することで、従業員との意志の疎通が円滑に進むようになりますよ。